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トップページ お知らせ EUのネオニコ3種暫定禁止から3年、ここまでわかった悪影響 ――2013年以降の研究レビューをグリーンピースが発表

去る6月21日、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(以下GPJ)は、英国サセックス大学に委託したレポート『ネオニコチノイド系農薬の環境リスク:2013年以降明らかになった証拠のレビュー』の日本語版を発表しました。

2013年以来、EUではネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用の暫定禁止措置を継続しています。暫定禁止発令の根拠となった欧州食品安全機関(EFSA)のレポート(2013年)では、ミツバチ以外へのリスクはまだ調査が足りないとされていましたが、GPJの報告書では、それ以降に発表された研究成果(巻末に文献リストあり)を専門家がレビューし、新たな知見を検証しています。どんな場所に残留しているのか、どのくらいの期間で分解されるのか、さまざまな生物に対するリスクの度合など、最近の研究成果がわかりやすく検証され、各国の調査で得られた具体的な数値が一覧できる図表が数多く掲載されています。

最近の研究成果としてわかったリスクを、EFSAレポートの時点で明らかになっていたリスクと比較して示すことがこのレポートの主目的ですが、結論として当時の知見で危惧されたリスクはそれを否定する研究結果が追加されず、局面によってはさらに高いリスクの可能性があることも指摘されています。たとえば、「より大きなリスク」があると評価されたのは、ハチが採蜜する機会の大きい野生植物の曝露リスク、野生ハチに対する亜致死的影響のリスクです。また、新たに研究が進んだ領域では、土壌蓄積による慢性的な汚染、広範な水環境への流出、水生昆虫の感受性の高さ、食虫性鳥類の個体数への負の相関、他の農薬との相乗効果など、当時は知られていなかった影響も報告されています。これらの結果を受けて、著者らは暫定使用禁止措置が妥当であり、不明な領域に関するさらなる調査の継続が必要だと結論づけています。

GPJは、このレポートを引用し、日本の環境省に対して、予防原則に基づいた暫定使用禁止措置と、水生動植物以外の動物への影響調査、化学農薬などに頼らない農業の推進を求める要望書を提出しました。みなさんの住む地域でも、ネオニコチノイド系農薬の問題点を説明する科学的な裏づけとして、この資料を活用してみてはいかがでしょうか。

▼国際環境NGOグリーンピース・ジャパン報道発表「グリーンピース、英国サセックス大学に委託した新レポート発表  環境リスクの高いネオニコチノイド系農薬の規制を求め、環境省に要望書提出」
レポートPDF、環境省への要望書のリンクが掲載されています
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170621/