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トップページ 法制度・生産量・製品名 原体別に見るネオニコチノイド系農薬(残留基準値ほか)

今回の調査で取り上げた農薬には、ネオニコチノイド7種(アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム)と、同じく浸透性農薬(根など植物の表面から内部に浸透し、長期間残留する)であるフィプロニルの計8種が、原体(有効成分別の工業製品)として用いられています。

» 農薬リスト(原体別・製品名五十音順)(エクセル)

作物や環境への残留基準値は、農薬の商品名ではなく原体別に定められています。これらの基準値は、「農薬取締法」に基づく登録の際に、基準値を超える残留が生じない使用法や使用回数を算定するために用いられています。

作物への残留

「食品衛生法」によって規制されています。2006年に改定された同法の食品規格により、農薬の残留はポジティブリスト制(残留基準値を定め、それを超える食品は流通させない制度)によって管理されています。それまでに運用されていた登録保留基準のほか、外国の基準などを参考に定められた暫定基準値を設定したうえで、食品安全委員会による健康影響評価によって基準値の更新を随時行っています。下記のサイトでは、原体名によって残留基準値の検索ができます。

【参照】公益財団法人 日本食品化学研究振興財団「食品に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の限度量一覧表

【参照】食品安全委員会「食品安全総合情報システム 農薬

水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準

「農薬取締法」に基づく農薬登録の際に、登録保留になる基準値が環境省によって決められています。原体別の基準値の改定結果は、随時下記サイトで検索できます。

【参照】環境省「水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準

公共水域への飛散・流出による残留

「農薬取締法」に基づく農薬登録の際に、登録保留になる基準値が環境省によって決められています。原体別の基準値の改定結果は、随時下記サイトで検索できます。汚染水によって水産動植物の残留基準値が食品衛生法上の残留基準値を上回ることが予測される場合にも、登録は保留となります。

【参照】環境省「水質汚濁に係る農薬登録保留基準について

PRTRによる環境排出量推計

環境への有害性が特に懸念される化学物質については、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づき、当該物質を製造・使用しているメーカーからの環境排出量を申告させ、行政機関が総排出量の推計をまとめています。この制度は、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)制度と呼ばれています。

今回調査対象とした物質のうち、フィプロニルのみがPRTRの管理対象物質に相当します。集計結果は下記のサイトで閲覧できます。

【参照】環境省「PRTRインフォメーション広場 集計結果

abtで行なった調査

これまでにabtが独自に行なった残留・汚染調査結果です。
ネオニコチノイド系農薬の海水汚染調査」(2021.5)

ネオニコチノイド系農薬の地下水汚染調査プロジェクト」(2020.5)

abt葉物野菜のネオニコチノイド系農薬残留調査」(2016.11)

abtネオニコチノイド系農薬残留調査レポート(米・茶)」(2014.2)

地方環境研究所・地方衛生研究所による調査

ネオニコチノイド系農薬残留・汚染・毒性に関するデータ【地方環境研究所・地方衛生研究所編】」(2021.10)
2020~2021年までに刊行された地方環境研究所および地方衛生研究所が公開している調査報告書等で、ネオニコチノイド系農薬に関するデータが掲載されている資料をabtがリスト化しました。

独立機関や業界団体による調査

企業や行政から独立した機関として分析を実施する農民連食品分析センターは、玄米(2020年)、リンゴ(2018年)、ミツバチとハチミツ(2020年)、輸入ワイン(2019年)、漢方薬(2018年)、鶏卵(2018年)などのネオニコチノイド系農薬残留調査を行ない、その結果をサイトで公開しています。
農民連食品分析センター「残留農薬や化学物質検出に関する調査研究

日本茶業中央会などを会員とする日本茶輸出促進協議会は、会員から募集した日本茶の農薬残留調査を実施し、分析結果を各国の基準値と比較した資料を公開しています。
日本茶輸出促進協議会「輸出用茶残留農薬検査事業 実施報告書