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トップページ コラム 【abt徒然草】 #2「身近なものの来歴」

市民活動助成基金(一般社団法人)アクト・ビヨンド・トラスト(abt)のメンバーが、日々感じたことを徒然に綴る「abt徒然草」、第2回目は、abtで一番の若手理事を務める岸田ほたるです。

ここ数年、化粧水は自分で手作りしたものを使っている。材料は5種類程で、その時々の気分や身体の調子に合わせて精油(エッセンシャルオイル/植物から得られる芳香のある揮発性の油)を組み合わせるだけなので、とてもシンプルだ。たとえば仕事に追われて気ばかり焦るときは、ローズマリーをメインにした化粧水がオススメ。優しい爽快感のある香りが心を安らげてくれる。作るときに小さなビーカーを使っているからか、学生時代の化学実験をしているような気持ちになり、ついワクワクしてしまう。同じ材料でも、混ぜ方や混ぜていく順番を変えるだけで香りが変わるところが、また楽しい。

化粧水を作るようになったきっかけは、数年前に突然、食物アレルギーを発症したことだ。発症してからしばらくは何を食べても何をしてもアレルギー反応があり、どうにか症状を和らげたいといろんな情報を調べ、生活を見直していく中でハーブや薬草の世界に入り込み、手作り化粧水を使うようになった。

いまではアレルギー症状も落ち着いたので、必要に迫られているわけではないのだが、作ること自体が楽しみになっている。たまに面倒に感じて市販のもの手を伸ばすものの、原材料をみればあまりに多くのものが使用されていることに気後れしてしまい、やはり自分で作ってしまう。

市販のものはいろんな工夫がなされているのだと思う。とはいえ、すべての材料が書かれていなかったり、書かれていてもどこから原材料調達がされているかわからないものだったりするのが大半だ。普段の生活で使うものすべてのサプライチェーンがわかればベストだが、都市に住む以上あまりに厳しくすることは難しい。しかし自身の健康のため、また間接的に環境や人々を傷つけることを避けていくため、問題が指摘されていないものであってもより良いものを選択できるように、まずは普段の生活で原料やその効能を知るところから始めたい。同時に、本当に環境や人々に負荷を与えない化粧品とはどんなものかを考え続けたい。

写真: 化粧水作りの準備、ラベンダーは煮出して使う