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トップページ 研究紹介・解説 ネオニコチノイドの母体から胎児への移行に関する論文発表について

このたび、獨協医科大学の市川剛医師と北海道大学の池中良徳准教授らの研究グループによる論文「極低出生体重児の出生直後の尿のLC-ESI/MS/MSによるネオニコチノイド分析」が、学術誌PLOS ONEに発表されました。

LC-ESI/MS/MS analysis of neonicotinoids in urine of very low birth weight infants at birth(PLOS ON / 2019.7.1)
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0219208

この研究は、極めて低体重で生まれた極低出生体重児(在胎週数23~34週)の尿中ネオニコチノイドを分析したもので、アセタミプリド代謝物として同じく神経毒性のあるDMAPが高率に胎児に移行することを示した世界初の論文です。

DMAPは、過去の報告によれば、日本の一般人で最も頻繁にppbレベルで検出されており、記憶障害や指振戦を含む典型的な症状群の患者から高頻度で検出されています。また、いくつかの動物実験で、アセタミプリドが神経発達に悪影響を与えることも報告されています。

未熟に生まれた新生児がネオニコチノイドに曝露されているということは、少なくともそれより長い時間を胎内で過ごす満期新生児も同等以上の曝露を受けていることを示唆します。胎児および新生児期は神経発達に大変重要な時期であり、今後アセタミプリドの安全性について再検討が必要だと言えます。