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中国・台湾・韓国・日本の研究者、実践者が語り合った5日間">在来作物に関する実例報告と新たな取り組みの模索
中国・台湾・韓国・日本の研究者、実践者が語り合った5日間

2018年度東アジア環境交流部門の助成先「ホールアース自然学校」が、昨年2018年12月21日~25日に開催したイベント「『タネ』が生み出す地域の未来~ご当地作物の魅力発信に向けた人材育成プロジェクト~」に関する報告を同団体のブログにアップしています。

このイベントは、ホールアース自然学校の拠点がある富士山麓に、中国・台湾・韓国・日本4地域の研究者、生産者、流通関係者などを招き、在来種・固定種に関する共通課題の認識、各地域での実践事例の紹介、それを受けての具体的な活用事例を探ることを目的として開催されました。

台湾と日本の研究者からは、在来種がどう活用されているのか、どのような仕組み・制度と在来種を結びつけ価値化していけば良いのかなどの発表が行なわれ、各地域の参加者からは以下のとおり実践的、具体的な活動報告が披露されました。「代々受け継がれてきた伝統文化が廃れ始め、『結』という助け合いの文化も下火になり始めている。この地に伝わる焼畑農法を復活させたり、地域の子どもたちと共に在来作物を育てたりと、自分たちができることを実践している」(日本)。「先住民と協働することで、在来種とともに伝統や文化も併せてその魅力を伝えていき、在来作物を育てる小規模農家が活躍できる場を支援していきたい」(台湾)。「在来種の収集や普及啓発、政策提言や調査研究などを行なっている。集めた在来種は6,000種にも及ぶ。この他にも高齢者にインタービューし、伝統文化や農法をまとめた本を出版したり、種のトレーサビリティのデータベースを作成するなど、情報の共有と活用の基盤を作り上げている」(韓国)。

また、在来種のそばの魅力の周知・保全活動をされている静岡県の蕎麦屋さんによる、在来種そば打ち体験会も行なわれたそうです。打ったお蕎麦の美味しさはもちろん、「在来種はその地域の気候や風土と結びついた独特の味があり、地域によって異なるのが魅力」、「蕎麦がブランド化するまではその場所から持ち出して積極的に発信していくが、ブランド化されたものはその地域から出さず、“その場所に行かなければ食べられない”状態にあるのが本物だ」というお話は、在来作物を価値づけしていく上で大変参考になると、皆が感銘を受けたとのこと。

地域農業のアイデンティティや生物多様性の視点から、その意義が広く認められている在来作物の魅力をいかに伝え普及させていくか、仕組みづくりや取り組みについて多くのヒントが得られた5日間となったようです。

なお、本企画は今年度は台湾に舞台を移し、「『タネ』が生み出す地域の未来②~”在来種先進地”の台湾に学ぶ最新事例」と題して、各地域の実践者から活動事例、台湾の在来種に関する先住民の伝統・文化、台湾における伝統野菜の栽培方法などについての報告・対話を行なう予定です。

▼実施報告の詳細はこちらから
https://wens.gr.jp/blog/project/post_171.html

▼2018年度ホールアース自然学校助成活動最終報告書
https://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2019/06/wens01.pdf