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トップページ お知らせ 15年・236件・2.76億円の 助成実績を踏まえ、新コンセプト「beyond ecology(ビヨンド・エコロジー)」を発表

公益社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(所在地:東京都世田谷区/代表理事:星川 淳、以下「abt」)は、2026年度の活動コンセプトとして「beyond ecology(ビヨンド・エコロジー)環境の未来をつくる人々を支える。」を掲げ、本日公表いたします。

abtは2011年度の助成開始から15年間で、通算236件・105の団体・個人に対し、総額約2.76億円の助成を行なってきました。原発事故後の生態系影響調査、PFAS汚染問題の先駆的問題提起、ネオニコチノイド系農薬の継世代影響研究など、社会がまだ認知していない「未来の問題」を先取りして支えてきた独立した民間助成団体として、2025年11月には内閣府より公益社団法人の認定を受けています。

個人の努力や従来の「エコロジー」の枠組みだけでは、気候変動・生物多様性の喪失・環境的不公正といった地球規模の課題に十分に向き合えないフェーズに、私たちの社会は差しかかっています。abtは「社会 × 環境 × 公正さ」の交点から、「エコロジーのその先にあるプラスアルファ」を問い直す新コンセプト「beyond ecology」のもと、市民・NPO・NGO・企業のみなさまとともに1年を通じて対話と実践を展開してまいります。

◼︎  コンセプト発表の背景

近年、化石燃料への依存による気候変動は加速を続けており、国際的な気候枠組みの足並みも揺らぎつつあります。一方で、個々人の意識のうえでは、多くの人が豊かな環境や平和な世界を望んでいる。この「個人の願い」と「社会の現実」のあいだに広がるギャップを、どう埋めていくのか。

abtはこれまで、「オーガニックシフト」「エネルギーシフト」「東アジア エコ&ピースシフト」「フェーズシフト」の4部門を柱に、市民・NPO・NGOによる具体的、効果的、創造的なアクションを助成と伴走で支援してきました。2025年11月には内閣府より公益社団法人として認定を受け、活動の公共性と責任がより明確な段階に入っています。

こうした節目にあたり、abtはこれまで大切にしてきた「エコロジーの尊重」の先に、さらなる“プラスアルファ”を社会とともに探っていくべく、2026年度の活動コンセプトとして「beyond ecology」を掲げることといたしました。

◼︎ 「beyond ecology」に込めた想い(要約)

「beyond ecology」は、個人の自助努力や従来型の環境保護だけでは届かない課題に対して、エコロジーの枠を超えた“プラスアルファ”を、一人ひとりと社会が一緒に考えていこう、という呼びかけです。エコロジーの枠を超えるためのヒントになる視点として、以下の3点を例示します。

  • エコロジー ×(かける)健康:農業の環境負荷低減とともに、安全な食料供給・子どもたちの健康を両立させる視点(例:みどりの食料システム戦略、オーガニック給食)
  • エコロジー × 平和:戦争は最大の環境破壊であるという認識のもと、東アジアの隣人どうしが手を取り合い、国境を超えて生息域が広がる渡り鳥や海洋生物などの生態系を守る視点
  • エコロジー × 公正:環境リスクを特定の地域や立場の弱い人たちに負わせる不均衡な社会構造を、「環境的公正」という補助線を引いて問い直す視点

abtは、これらを「答え」としてではなく「問い」として社会に開き、助成先団体・寄付者・市民・研究者・メディアとともに、対話と実践を重ねていきます。

noteにフルバージョンを掲載しております。

◼︎  abtのこれまでの歩み:15年間の助成実績(2011〜2025年度)

abtは、独立した民間助成基金として、市民・NPO・NGOによる環境課題への挑戦を資金提供と伴走支援の両面から支えてきました。

助成総額
約2.76億円
助成件数
236件
支援団体・個人数
105団体・人
活動年数
15年

【分野別 助成総額の内訳(2011〜2025年度)】

分野助成総額
エネルギーシフト約1億2,667万円
オーガニックシフト(ネオニコチノイド系農薬問題)約1億1,986万円
東アジア エコ&ピースシフト約1,801万円
フェーズシフト約983万円
オーガニックシフト(オーガニック給食推進)約149万円

※金額は千円未満四捨五入。2025年度分を含む15年間の累計値(オーガニック給食推進は2025年度開始)。

◼︎ 「未来の問題を先取りする」支援の代表例

abtの助成は、「いま注目されている課題」だけでなく、「まだ社会が気づいていないけれども重要な課題」を先取りして支えてきたことが特徴です。

・【2013〜2017年】福島第一原発事故後の昆虫など生態系への影響調査を継続的に支援

・【2016・2018年】沖縄県における米軍基地周辺のPFAS(有機フッ素化合物)汚染を、国内の政策議論に先駆けて問題提起

・【2020〜2024年】ネオニコチノイド系農薬の哺乳類への継世代影響研究を支援
※低濃度でもネオニコを投与したマウスが行動・神経発達に影響を受けることは、TBS『報道特集』でも特集されました。

・【2013〜2015,2019年】ネオニコフリー農業の成果事例:「河北潟湖沼研究所の市民参加型生きもの調査が『生きもの元気米』としてブランド化に成功」

これらはいずれも、助成当時には社会的関心が低かったテーマでありながら、後年に大きな社会問題として可視化されてきました。「beyond ecology」は、この“未来を先取りする助成”の姿勢を、次の15年へと引き継ぐコンセプトです。

◼︎ 2026年度の主な取り組み予定

 abtは2026年度、「beyond ecology」のコンセプトのもと、以下のような活動を展開してまいります。

  • 4部門(オーガニックシフト/エネルギーシフト/東アジア エコ&ピースシフト/フェーズシフト)における公募助成の実施と、採択団体の成果報告会・シンポジウム開催
  • 様々な分野の方と「beyond ecology」を考えるイベント・対談などの連続企画の実施
  • アニュアルレポートや調査レポート等を通じた、「beyond ecology」の視点からの情報発信
  • オンラインサロン「acty」を通じた市民との継続的な対話の場づくり(クローズドワークショップ「actyオンラインWS」、オープンイベント「知恵の環(わ)」など)
  • 寄付キャンペーン「未来世代サポート募金――いのちと自然のバトンをあなたから」の継続実施
  • 法人パートナー向けの新たな寄付プログラム(法人月額サポーター/冠助成の協働開発/助成事業実務の受託)の展開

◼︎ abtの3つの強み

 abtは、以下の3つの強みを土台として、市民社会による環境課題への挑戦を支えています。

  • 多様な専門家とのネットワーク:科学者・法律家・地域専門家など、多彩な選考委員・アドバイザーが活動を評価・支援します。
  • 公正で透明な選考プロセス:公募から選考委員会運営まで独立した仕組みを整え、厳正かつ開かれた審査を実施しています。
  • 成果につなげる伴走支援:助成後も伴走し、専門家連携・情報発信・ネットワーク形成を継続的に支援します。

◼︎  代表コメント

地球の生態系と人間社会の未来を見通すとき、エコロジー(生態学)は生命世界の全体性と相互依存性を学ぶうえで欠かせません。

しかし近年、国内外で従来のルールや方針が守られない事態が重なり、未来が見通しにくくなってきました。そんななか、平和で自然と調和した世界を諦めるのではなく、「本当はどっちへ向かいたいんだっけ?」 という問いかけを兼ねて、視界を開こうとする言葉がbeyond ecologyです。

公益社団法人として2年目となる2026年度、abtは助成事業を通じた“触媒作用”を、これまで以上に開かれた対話の場と組み合わせながら届けてまいります。ぜひ、報道関係者の皆さま、そしてabtが配信するメールマガジンやSNSの読者・視聴者のみなさまにも、ご一緒いただければ幸いです。

公益社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 代表理事 星川 淳

 

◼︎コンセプトメッセージ

自然環境は守るべきものだと思いますか。

もしもそう聞かれたら、だれもが「はい、もちろん」と答えるのではないでしょうか。自分の生きている地球のことです。破壊したい、ないがしろにしたい、なんて思っている人はだれもいないはず。それなのに、化石燃料への依存による気候変動は加速しているし、年明け早々には、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)からのアメリカの脱退が報じられました。一人ひとりの意識のうえでは、きっとだれもが豊かな環境や平和な世界を望んでいるのに、なぜ環境破壊は進んでいってしまうのでしょうか。

今の世の中、なかなか自給自足では生活できません。私たち個人は、それぞれが抱える思いだけではままならず、社会を通じて世界とつながっている。社会の仕組みそのものに問題があるなら、一人の個人がどんなに「環境を良くしたい」と思っていても、自助努力にはどうしても限界があります。つまり、個人の努力を超えて、社会の仕組み全体を考えなければならないフェーズに差しかかっているのが、これまで文明を築いてきた人間のたどりついた現在なのかもしれません。

だとすれば、人間の文明と自然との関係をより持続可能なものとするためには、今まで私たちが個人個人で大切にしてきた「エコロジー」の尊重を超えて、さらにその先のプラスアルファを考えたいと思うのです。

そこで、「beyond ecology(ビヨンド・エコロジー)」という言葉を手がかりにしてみます。エコロジーだけではなく、その先に何をプラスできるでしょうか。

生態系の保全の先には、人間の健康を考える人もいるでしょう。政府が新しく打ち出した「みどりの食料システム戦略」は、農業の環境負荷を減らすだけではなく、安全な食物供給を実現する枠組みになるかもしれません。

また、環境破壊を食い止めるためには、平和こそが不可欠という考え方もあるでしょう。戦争は最大の環境破壊です。たとえば、日本、台湾、韓国、中国、北朝鮮などに点在する渡り鳥の営巣地や越冬地を守るためには、東アジアの隣人どうしで手をつながなければなりません。

さらに、環境的公正という概念があります。都会の電力をまかなうために、原子力発電所をほかの地域に押しつけていいのか。ひとたび事故が起きれば、真っ先にリスクを負うのは周辺地域の人たちで、電力を供給される都市の住民ではありません。環境的なリスクを特定の地域や弱い立場の人たちに負わせる不均衡な社会構造を問い直すときに、公正性という補助線を引いてみるのもひとつのアイデアです。

木々の芽吹く春、夏の日に輝く海、秋の夜に響く虫の声、冬鳥が天高く渡る空……

あなたもきっと、身のまわりの自然を日々いとおしみながら生きてきたはず。

エコロジーのその先、beyond ecologyにあなたはどんなプラスアルファを付け加えますか。それぞれの声に耳をすまし、一緒に考えていきたいと思います。

◼︎ 本件に関するお問合せ先

公益社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 事務局長 / プログラムオフィサー:北畠 拓也
Mail:kitabatake@actbeyondtrust.org
〒154-0005 東京都世田谷区三宿1-14-8 三宿バドスクエア308
TEL:03-6665-0816(代表) / お問合せフォーム:https://www.actbeyondtrust.org/contact/