
皮むき間伐体験を主催するNPOしんりんの施設に到着すると、大きな馬がつながれているのが目に入る。これから作業をする「エコラの森」(同団体が森林整備を行なっている)では、馬が木材を搬出する“馬搬”が行われているのだ。競走馬と風貌が異なり、脚が太く武骨な感じだが、おっとりとしたたたずまいが素朴でかわいい。首都圏や東北から集まった参加者10数名とともに車で現場まで向かう途中、スタッフの方から、この森では牛が3頭放し飼いにされていることを聞いた。牛たちは山を歩き回って勝手に草を食べてくれるので、夏の下草刈りがとても楽になるそうだ。牛も馬も参加する林業! なんともユニークな取り組みだが、単に労働力の助けになっているだけではない。牛も馬も道なき道を進めるので、作業林道が最低限に抑えられるという。木材の運搬用に大きな重機を入れ、そのために大きな道を作って、そこから土砂が流れるなど弊害を生み出してきたこれまでの林業の見直しから生まれたものだという。
皮むき作業は、みんなすぐに習得した。それほど、ちょっと拍子抜けするほど簡単なものなのだ。まず、木の幹をぐるっと一周するように切り込みを入れ、そこから上に向かって皮をべろーんとむくだけだ。参加していた子どもたちは、自分の分はすぐに終わってしまい、人の分まで“むいて”回っている。1時間後、白い肌をさらした細木があちこちに現われた。半年後、これらの木は伐採されるが、希望者は再びその作業にも参加することができる。乾燥していることで、伐採・運搬作業が従来よりずっと楽なのだそうだ。
作業が終わり、近くの温泉施設で汗を流して夕食も済んだ後、参加者はNPOしんりんの大場理事長を囲み、この団体のユニークな取り組みの説明に耳を傾けた。
NPOしんりんは、森林資源を有効に活用する循環型林業を目指して、宮城県大崎市内のエコラの森を中心に森林整備作業を行なっている。皆伐(すべて伐採しはげ山にすること)は行わず、間伐作業を中心にして、間伐作業が終わった後は択伐(選抜して伐採すること)をしながら、最終的には針葉樹・広葉樹の混合林の天然更新林(植栽を行わず、自然に落下した種子から樹木を育成させることで再生を図る方法)を目指す。
大場さんの説明を聞いて驚いたのは、建材になるような立派な材木から枝・樹皮まで、森林資材のカスケード活用
(木材の副産物活用・残材活用)を徹底しているということだ。製材所や工務店とつながっていることで、そこからの要望を取り入れたきめ細かい木材生産が可能となり、安く買いたたかれる間伐材も高く買ってもらえる。また、残材活用としてチップボイラー燃料などを製品化し、地域にお金が落ちる仕組みの一翼を担っている。







