公正で持続可能な社会づくりをエンパワーする

empowering actions for just and sustainable society

トップページ イベントレポート 【acty】第0回オリエンテーション(説明会)&ディスカッション・レポート

一緒に考え、動くコミュニティ「acty(アクティ)」の第0回オリエンテーションを8月24日(木)に開催しました。このページでは、その中からactyについての説明やディスカッションの一部、世話人からのメッセージなど、ダイジェストでお届けします。

◆abt代表理事 星川淳からのメッセージ
◆actyの概要について
◆ディスカッション“公正で持続可能な社会をつくるには?”
◆世話人からのコメント

※第1回オンライン作戦会議(参加費無料)は9月21日(木)に開催します。第0回に参加できなかった方も、ぜひご参加ください!
→第1回作戦会議:お互いを知り、問題意識を共有しよう#1申し込みはこちらから

◆abt代表理事 星川淳からのメッセージ

アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川淳

まったく新しい試みで、どうなるか楽しみに思っています。私たちは年間何千万というご寄付をいただき、その意志を生かして助成先を支援しているため、ふだんの仕事はとても“マジメ”です。気持ちも頭もなるべく柔軟にと思っていますが、いい加減にはできない職種で、“マジメ”という基本は外せません。

今回発足するactyは、その外側で良い刺激を与える存在になるのかもしれません。英語で“think outside the box”という表現がありますが、いつもの慣れた視点や先入観の外に出て考えるという意味です。abtの外から並走していただき、“マジメ”な業務とは一味違うアイデアや知恵、ときに協力をいただける、そんなコミュニティになってほしいと思います。(※一部抜粋の上要約)

星川淳(abt代表理事)からのメッセージ

◆actyの概要について

– actyとは?

アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は“重要だけれど見落とされがちな活動”を支援する、環境分野の民間基金(中間支援団体)です。資金的支援や伴走支援からなる助成事業がメインですが、それ以外にも市民向けのイベントや独自の調査プロジェクトなども行なっています。actyはそうした助成以外の取り組みの一環です。「公正で持続可能な社会づくりをエンパワーする」ことがabtのビジョンですが、その思いに共鳴し、問題意識を共有してくださる方々と、ともに語りあい、知恵を紡ぎながらアクションするコミュニティがactyです。

ところで、どうしたら「公正で持続可能な社会」をつくることができるでしょうか。様々なスケールや分野の問題が溢れる中で、市民社会には学びやファクト(事実)に基づくコミュニケーションの場が必要なのだと思います。そこで、社会や環境のためにアクションする人や、それを力強く支え応援する人々が有機的につながりあうコミュニティをつくりたいと考えました。まずはともに学んだり議論したりしながら、小さな実践からはじめましょう。

acty第0回オリエンテーション(ダイジェスト)

PDFの資料のダウンロードはこちらから。

– actyの活動内容

毎月〜隔月のペースで開催するオンラインによるワークショップ「作戦会議」を基本に、交流会(ハイブリッド開催を想定)、Facebookグループでのメンバー間の日常的な意見交換や情報共有、これらを通した具体的なアクションづくりを行います。具体的には参加いただいた方々と一緒に考えていきますが、まずはお互いの問題意識や取り組んでみたいことを共有しあうところからはじめます。

作戦会議では、たとえば関心のあるテーマの勉強会、イベントの企画・実行、何らかの現場見学や市民調査の実施などが考えられます。もう少しハードルを下げて、abtや助成先の取り組みに参加してみる、などでももちろんOKです。はじめから参加してくださったみなさんには、コミュニティの方向性も含めて一緒に探索いただければ幸いです。

持続可能な社会に向けて自分も何か学びたい・やってみたいという方や、自分のスキルを生かしたい方など、多様な方々のご参加をお待ちしています。メンバーに加入してくださった方には、abtが主催するツアーをはじめイベントの優先告知などの特典もあります。9月21日(木)の第1回作戦会議は無料で参加可能ですので、ぜひ参加いただき、正式加入をご検討ください(正式加入は年会費6,000円です)。※ユース枠の割引あり。ご相談ください。

◆ディスカッション“公正で持続可能な社会をつくるには?”

イベントの後半では、参加いただいた方と肩慣らしとしてのディスカッションを行ないました。

話題提供として紹介したキーワードは「環境的公正/不公正(environmental justice/ injustice)」です。地球温暖化や気象災害の激甚化の悪影響は、これまで大量のCO2を排出してきた先進国ばかりでなく、貧しい国にももたらされます。また、都市部の電力消費を支えるための原子力発電所は、環境汚染などのリスクを抱えながら都市部と遠く離れた地域に建設されます。このような受益と負担の不公正は、日常レベルから地球規模のものまで様々ありますが、その多くは見えにくいものです。こうした環境的不公正に気づいたり、見えるようにしたり、正していくことが必要になりそうです。また、持続可能な社会をつくるには、当然ながらその実現方法にも持続可能性が求められます(強権的ではないことや、抑圧の上に成り立つものでないことなど)。環境保全と社会的公正を同時に達成するような実践は、きっとあちらこちらで生まれています。そうした取り組みを見つけ、広げていくことも重要になってくるでしょう。

北海道から九州まで、そして農業に携わる方や国際NGOに関わる方など、多様なバックグランドを持つみなさんから、それぞれの関心や問題意識、お考えを語っていただきました。ディスカッションで語られた内容の一部を記してみると……

  • XX国の支援に関わっているが、そこは最も地球温暖化の影響を受ける国のひとつ。CO2をあまり排出してこなかった国の人が影響を強く受ける理不尽さが気になる。一方で、地球温暖化を自分ごととして認識できる人は少ないと感じている。
  • 数十年前に比べて、どんどん無駄にお金がかかる暮らしになっている(たとえばストーブが電気式になるなど)。その違和感が引っかかっているが、今の暮らししか知らない世代はそうは感じないだろう。そんな違和感を互いに確認しあうことで、どうすれば良いかを考えはじめられるかもしれない。
  • 持続可能な社会への転換を考えるときに、根本的な問題はお金だと思う。あらゆる商品は地球の資源と労働でできているが、それらを大切にする社会にはなっていない。指標としての環境負荷や、日本でも社会的連帯経済について考えてみたい。
  • 有機農業は本来、持続可能なもので、当たり前にできるものを、当たり前に家族やみんなに食べてほしいと思っている。しかしそれらは儲かるものではなく、今の市場や労働の価値観では計れない。次の社会をどうつくるかは、今ここにいる私たちが考えないといけないのだろう。
  • 日本では政治への関心が低いが、そもそも対話のやり方を訓練されていないとも言える。対話を通して歩み寄ったり、別の視座を獲得したりするなど、デモクラシーの技術が必要で、それを学べる場ができると良いかもしれない。

じっくりとみなさんからお話を伺い、第0回から大変多くのことを学びあう時間となりました。ふだんの生活では触れる機会があまりないお話の数々で、こうした対話の場には特有の心地よい空気が流れます。これからの参加を考えている方も、自分だったらどんなことを語るだろうかと、ぜひ思いを巡らせてみてください。

◆acty世話人からのコメント

世話人役のお二人から、ディスカッションを受けてのコメントをいただきました。

奥田裕之さん
立教大学大学院などの講師、ジャーナリズム支援市民基金・運営幹事ほか。NPO法人や財団法人のプロジェクト支援、自身の社会的プロジェクト活動などを行なっている。元NPO法人まちぽっと事務局長。

個人的には人権への問題から関心がスタートすることが多いのですが、ひどいと思う場面は社会にたくさんあります。それらを仕方のないことだと見て見ぬ振りし、積み重ねた挙句が今の社会なのでしょう。社会の構造的なボタンのかけ違いを、どこまで戻って解きほぐし、再構築できるのかということを、多くの場面で考えないといけないと感じます。私は絶対的な社会正義はないと思っている一方で、社会的正義という大きな旗のようなものをめざして、いろいろなアプローチで向かっていくプロセス自体が重要だと考えています。今日、みなさんの口から環境や経済という大きな話が出ましたが、自分自身の生活のリアリティとそれらが未来につながらないというもどかしさを解きほぐし、それぞれ何ができるかを話しあっていきたいと思いました。(一部抜粋の上要約)

李 妍焱(LI Yanyan) さん
abt理事/駒澤大学文学部社会学科教授。日中市民社会ネットワーク創設者の1人。中国で自然学校を広げるプロジェクトを実施。東アジア地球市民村村民。

自身の大学院生時代に、市民活動に関わる人々にインタビューしたときの感覚が蘇りました。みなさんがそれぞれどのように世界を見て、そして何をやっているのか、なぜそれが大事なのかということを語ってくださり、素晴らしいお話を聞けました。一人ひとりが語ることから学べることがあり、actyはまずここからはじまるのかな、と思いました。きれいごとの公正ではなく、自分ごととして、それぞれの生きるということに落とし込める言葉が欲しいのです。学生のときの私のような若い世代もこのコミュニティに巻き込み、学びあいのプラットフォームになれば良いと感じます。政治や経済をつくるための仕組みづくりの前提として、まず人づくりが必要ですが、いろいろな方の人生の思いに裏づけられた学びの場を、一緒につくりましょう。(一部抜粋の上要約)

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

※第1回オンライン作戦会議(参加費無料)は9月21日(木)に開催します。第0回に参加できなかった方も、ぜひご参加ください!
→第1回作戦会議:お互いを知り、問題意識を共有しよう#1申し込みはこちらから