9/2~10/31にかけて挑戦したクラウドファンディング「子どもたちに健康な未来を! 全国のオーガニック給食支援プロジェクト」は目標金額を達成できませんでした。ご期待に応えられず、申し訳ありません。
(参考) 実施していたクラウドファンディングのページ
クラウドファンディングは達成できませんでしたが、全国の教育機関や保育施設、各地の市民団体や事業者などが取り組むオーガニック給食活動を加速させる助成プログラム「オーガニックシフト」は、abtの自己資金を工面して予定どおりスタートしています。
→2025年度 “オーガニックシフト” 助成の公募中 ~オーガニック給食のスタートアップを応援します!~
クラファンでご寄付の申し込みをいただいた方には再度のお願いになってしまい恐縮ですが、子どもたちへ安心・安全なオーガニック食材を届けるためにご支援をいただければ幸いです。
■目標金額:150万円(2025年度助成分として)
※目標額に達しない場合も、abtの自己資金を工面して「オーガニックシフト助成」は実施いたします。
※通年で募集しており、毎年4月以降にいただいたご寄付は、翌年度の「オーガニックシフト助成」の運営資金に活用させていただきます。
■資金使途:オーガニックな給食または食事を提供する活動への助成や運営資金
(助成額10~50万円/×6件程度、助成プログラム運営費用50万円)
・はじめの一歩コース/上限10万円……オーガニック給食を取り組み始めたい申請者向け
・ジャンプアップコース/上限50万円……実施している活動を飛躍、波及させたい申請者向け
公募助成プログラム“オーガニックシフト”
~オーガニック給食のスタートアップを応援します!~
1. 助成プログラムの趣旨
アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は2010年の設立以来、ネオニコチノイドと呼ばれる種類の農薬に関する調査研究、農薬に頼らない農業と社会の実現をめざす活動をサポートしてきました。1990年代に登場し、害虫防除に大量に用いられるようになったネオニコチノイド系農薬。この農薬は根などから植物内部に浸透するため洗っても落ちず、環境中で分解されにくいため長く残留することがわかっています。また、強い神経毒性により昆虫だけでなくヒトを含む哺乳類の神経伝達や発達にも影響を及ぼすことが、研究によって解明されつつあります。こうした危険性があるにもかかわらず、多くの日本人は知らず知らずのうちにお米や農作物、飲料、その他の加工品から日常的にこの強力な殺虫剤を取り込んでしまっている現状です。
国は未来の子どもたちの健康を守るために大きな一歩を踏み出しました。2020年に有機農業推進に関する基本的な方針が示された後、2023年にはみどりの食料システム法が制定され、環境と調和のとれた食料システムの確立に関する基本理念などを定め、農林漁業および食品産業の持続的な発展、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図るとされています。また、そのような目標を達成するために、全国の地方自治体がオーガニックビレッジ宣言を行ない始め、各地の教育機関や市民団体の活動を後押ししています。
しかしながら、有機農作物の生産と調達、調理スタッフの確保や育成、事業を支えるための資金的な問題など、オーガニック給食を取り巻く課題はまだまだ山積みです。各地で芽生え始めたこの素晴らしい動きを途絶えさせず、オーガニック給食を実現・波及・発展させるためには、諸団体に対する資金的支援とともに、オーガニック給食にまつわる課題やノウハウを市民社会で広く共有していくことが重要であると考えました。
本助成プログラムは、幼稚園や保育園、小学校などの教育機関をはじめ、オーガニック給食の実現に向けて活動する市民団体や生産者、さまざまな事業者を対象とします。農薬の影響を受けやすい成長過程にある子どもたちの健康を守る社会をめざして、皆さまからの意欲的なご応募をお待ちしております。
2. 応募資格
給食のオーガニック化(慣行農法による農作物や加工品を使用しないこと)をめざしている下記の団体[※地域、法人格、活動実績は問いません]
- 幼稚園(こども園)や保育園、小学校、中学校、特別支援学級など
[※公立、私立は問いません] - オーガニック給食実現に向けて協力・連携している、地域の市民団体(ボランティアグループ、NPO/NGO)
- オーガニック給食を提供している有機農産物の生産者や配給業者(小売事業者、飲食サービス事業者、加工食品製造事業者、流通事業者)
[※具体的な上記の保育施設や教育機関とのコラボレーションによる申請であることが条件]
3. 助成対象活動
- オーガニックな給食を提供する活動
例:幼稚園や保育園等で提供する給食を有機の食材に転換しようとする具体的な試み(週1回あるいは月1回のオーガニック給食DAY開催など) - オーガニック給食の実現・継続をめざす準備活動
例:仕入れ先(生産者)の探索、栄養士・調理師・コーディネーターの育成・探索、自治体や協力機関に対する折衝、実行委員会の組織化、活動を進めるための合意形成など - オーガニック給食をさらに普及させるためのPRやロビイング活動
例:自治体や政府に対するロビー活動、市民対象の普及啓発イベント開催、情報発信活動
4. 助成対象期間
2025年4月1日(火)~2026年3月31日(火)
※寄付画面で寄付の使途を指定できます。 オーガニックシフト助成への寄付を希望される方は使途指定をお願いします。
ネオニコチノイド系農薬の影響とは?
1990年代に登場し、害虫防除に大量に用いられるようになったのが、ネオニコチノイド系農薬です。この農薬は根などから植物内部に浸透するため洗っても落ちず、環境中で分解されにくい特徴を持つことから自然界に長く残留することがわかっています。
また強い神経毒性により、昆虫だけでなくヒトを含む哺乳類の神経伝達や発達にも影響を及ぼすことが研究によって解明されつつあります。多くの日本人は知らず知らずのうちに、お米や農作物、飲料、その他多くの加工品から日常的にこの強力な殺虫剤を取り込んでしまっているのです。
「いまは健康だから大丈夫」と思っている方も多いでしょう。
しかし、その影響は数年後や数十年後に明らかになるかもしれませんし、特に妊婦が口にしたネオニコチノイド系農薬は胎盤を通り抜け、そのほとんどが胎児へ移行することが明らかになっています。ネオニコチノイド系農薬が持つ毒性は、未来を生きる子どもたちの発育や神経系の問題に加え、アレルギーなどの免疫疾患を引き起こす原因の一つとして、いまもなお研究が続けられています。いま、この危険な殺虫剤は、私たちの食の安全性を脅かし、成長過程にある子どもたちの健康にも静かに忍び寄っているのです。
応援メッセージのご紹介
上原 幸子 さん
NPO法人砧・多摩川あそび村 理事長
私の子どもは、3人ともひどいアトピー体質で苦労しました。原因は何だろうとずっとわからないままでした。アレルギーは特異体質ではありません。社会の縮図のようなもので、世にあふれている農薬や化学物質が原因だと思っています。対処療法しか行われてきていない現状ですが、原因は1つでないからこそいろいろな人たちの様々な経験や知恵を持ち寄ることが大事で、アクト・ビヨンド・トラストのように情報を共有・発信したり、みんなで可能性について考えたりする機会を創ることは、子育て世代に大きな効果があるはずです。
菅野 奈穂 さん
オーガニック給食研究家
私は、不妊治療を経て、今はアレルギーとアトピーを抱える娘の子育て奮闘中です。なぜ日本で不妊やアレルギー、アトピーがこんなに増えているのか、色々勉強するうちに、食の大事さに気づきました。気候変動対策も生物多様性保全も、今すぐ行動しなくてはいけない。子どもたちが毎日食べる給食は、本当に良いものであってほしい。そして、大地を守る農家さんから食材を買ってほしいと思います。もっと広がれ!オーガニック給食!
板谷 侑香里さん
コラボレーター
全国の子どもたちに、安心で健康的な食事を届けるという取り組みに、共感しています。2年前、全国オーガニック給食フォーラムに参加した際、有機農業と学校給食を結びつける可能性を教えていただきました。全国の水田のたった2%を有機農法に転換するだけで、全ての中学校給食に有機米を導入できると聞き、これは教育と農業の未来にとって非常に有意義な取り組みだと感じています。
また、小中学校給食の無償化も5,000億円弱で可能であり、これが実現されれば、食の安全を保障しながら次世代の育成に大きく貢献するでしょう。私自身も、家庭菜園や小規模な農業に取り組み、農作物を育てる大切さや暑さの中で草刈りをしながら手間を実感しています。
子どもたちにより良い未来を届けるため、この活動が多くの方に広がり、食料自給率を上げたり、農作物を自分自身で作ったりすることなど、日本全体でオーガニック給食や農業の活性化への大きなムーブメントになることを心から期待しています。