ハチの大量死、赤とんぼの激減の原因のひとつといわれているネオニコチノイド系農薬。タバコに含まれるニコチンに似た成分(ネオニコチノイド*)をベースとする殺虫剤です。1990年代に登場し、現在世界で一番使われている殺虫剤といわれています。環境への影響だけでなく、神経発達障害との関連など人への影響も明らかになりつつあります。海外では規制強化の動きが見られますが、日本ではむしろ緩和の方向に向かっており、近年、環境保護団体や研究者などから規制強化や適正な影響評価を求める声があがっています。
* 一般にネオニコチノイドと呼ばれる化合物は、アセタミプリド、イミダプロクリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムの7種類。これに作用がよく似たフィプロニルを加え、ネオニコチノイド系農薬と呼ぶことが多い。
** ハチのコロニ-が崩壊にいたるため、アメリカでは「蜂群崩壊症候群」と呼ばれている。原因と疑われるものは複数あり、まだ科学的に確定されていないが、ネオニコチニノイド系農薬は主因のひとつと考えられている。
*** ペット用ノミ駆除剤:アドバンテージ、キャプスター、フロントラインなど
家庭園芸用:レインボーフラワーEXⅡ、アースガーデン 食べる野菜と果樹 虫&病気対策、ベニカベジフルスプレー、オルトランDX粒剤など
家庭用殺虫剤:アリの巣徹底消滅中、コバエがホイホイ、ブラックキャップなど
**** 2013年12月に、EUは「ネオニコチノイド系農薬2種とヒトの神経発達障害に関連がある可能性」を公式発表した。これはラットの細胞を使った実験の報告をもとに、既存のデータや情報を専門家が調査して導かれた結論。また2019年、日本の研究者により、ネオニコチノイド系農薬が妊娠中の母親から胎児に移行することを裏づける研究が発表され、神経発達期である胎児期・新生児期の毒性影響が懸念されている。
日本特有の課題
稲作の田植え機用育苗箱に大量に使われて、赤とんぼ激減の主因と疑われるなど、すでに水田生態系から水系へと広く汚染を引き起こしている可能性が高いと言われています。また、カメムシの被害により米が黒く変色するいわゆる斑点米(着色粒)がわずかに混じることで米の値付けが著しく変わるため、農家はカメムシ防除用に大量のネオニコチノイド系農薬を空中散布せざるを得ないという問題もあります。海外の研究者からは、自ら進んで国土と国民を危険にさらす大規模実験に、驚きの目が注がれています。
これまでの成果
ネオニコチノイド系農薬問題では、以下のような取り組みを応援してきました。
- ネオニコチノイド系農薬を使わない農作物の認証システムづくり(2011~2013)
- 赤とんぼの激減に警鐘を鳴らすビデオ作品の制作(2012)
- 農薬に頼らない持続可能な農業への転換(2013~2015)
- 世界的に使用量が急増する浸透性殺虫剤の総合的な影響評価、そのリスクに関する学習会やシンポジウムの開催(2014、2016、2017)
- 小売店に対するネオニコフリー農産物取り扱いキャンペーン(2016~2017)
- 哺乳類末梢・中枢神経系におけるイミダクロプリドの神経毒性に関する薬理学的研究(2016)
- ネオニコチノイド系農薬の規制強化に向けた法律制定キャンペーン(2018)
- 有機農産物摂取による尿中のネオニコチノイド量低減に関する調査研究(2018)
- ネオニコチノイド系殺虫剤の母子間移行メカニズムの解明(2018)
パートナー紹介
2020年度助成先
【公募助成】

苅部 治紀
» 2020年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成決定のお知らせ
【企画助成】

特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
» 助成先活動情報
過去の助成先レポート
【2019年度公募助成】
亀田 豊 » 2019年度レポート
苅部 治紀 » 2019年度レポート
【2019年度企画助成】
【2018年度公募助成】
【2018年度企画助成】
【2017年度公募助成】
【2017年度企画助成】
【2016年度公募助成】
【2016年度企画助成】
【2015年度公募助成】
【2015年度企画助成】
【2014年度公募助成】
【2014年度企画助成】
ネオニコチノイド研究会 » 2014年度レポート
【2013年度公募助成】
【2012年度公募助成】
【2011年度企画助成】
ネオニコチノイド系農薬の使用中止を求めるネットワーク » 2011年度レポート
» 注目!助成先活動成果
» 助成先活動情報