ネオニコチノイド系農薬の全廃に向けて
1990年代に登場し、害虫防除に大量に用いられるようになったネオニコチノイド系農薬。神経毒性、水溶浸透性、残留性を特徴とし、市販開始時には標的種以外への影響は少ないと謳われていました、しかし、まずミツバチなど花粉媒介生物への悪影響が判明したことを端緒に、環境や人体へのさまざまな危険性が明らかになりつつあります。EUでは規制強化が進み、日本の研究者の間でも問題が認識されるようになりました。2018年に改正された「農薬取締法」のもとで農薬の再登録制度が進むいま、ネオニコチノイド系農薬の全廃に向けた市民の動きも重要な局面を迎えています。
abtはこれまで、公募を含む多くの取り組みを支援してきました。低濃度でも安全とは言えないネオニコチノイド系農薬の全廃を目指し、代替農薬に安易に頼ることなく、最終的にはオーガニックな農業への転換を求めます。具体的には、以下の4つの側面にかかわる市民活動を後押ししています。
【調査・研究】
生態系や人体への影響を科学的に検証し、学術誌への論文掲載や学会発表などを通じて公共的な議論の前提となるエビデンスを明らかにする。
【広報・社会訴求】
環境保全や食の安全などに携わる市民のつながりで科学的知見を共有し、シンポジウムや学習会の開催、メディアを通じた情報発信、パブリックコメントの呼びかけなど世論喚起の機会をつくる。
【市場“緑化”】
生産・流通・購買という一連の流れにおいて「脱ネオニコ」に向けた効果的なシステムが生まれるよう、代替農法の普及、市場価値の醸成、消費者の意識改革などを進める。
【政策提言】
行政や立法に対して、院内集会や政策立案への参加など、市民の問題意識に基づいた意思表明を行ない、規制強化に向けた制度的な変革を目指す。
これまでの成果
ネオニコチノイド系農薬問題では、以下のような取り組みを応援してきました。
- ネオニコチノイド系農薬を使わない農作物の認証システムづくり(2011~2013)
- 赤とんぼの激減に警鐘を鳴らすビデオ作品の制作(2012)
- 農薬に頼らない持続可能な農業への転換(2013~2015)
- 世界的に使用量が急増する浸透性殺虫剤の総合的な影響評価、そのリスクに関する学習会やシンポジウムの開催(2014、2016、2017)
- 小売店に対するネオニコフリー農産物取り扱いキャンペーン(2016~2017)
- 哺乳類末梢・中枢神経系におけるイミダクロプリドの神経毒性に関する薬理学的研究(2016)
- ネオニコチノイド系農薬の規制強化に向けた法律制定キャンペーン(2018)
- 有機農産物摂取による尿中のネオニコチノイド量低減に関する調査研究(2018)
- ネオニコチノイド系殺虫剤の母子間移行メカニズムの解明(2018)
「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成成果報告会
» https://www.actbeyondtrust.org/activity-result/neonico-report/

パートナー紹介
2022年度助成先
【公募助成】
#デトックスやろう #カエルもわかる農薬の話
くまもとのタネと食を守る会
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ため池や自然止水域におけるネオニコチノイド系農薬汚染と絶滅危惧水生昆虫の生息状況IV 新たに暴露試験と虫体からの農薬検出の試行
苅部 治紀
女性農業従事者の尿中ネオニコチノイド系農薬検出実態調査
一般社団法人 農民連食品分析センター
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神経回路形成期の時期特異的ネオニコチノイド曝露影響と発達神経毒性の継世代評価
神戸大学大学院 農学研究科 動物分子形態学分野 星研究室
浜名湖流域のネオニコチノイド系農薬の流出源の特定と地下水への影響、水生昆虫とアサリのネオニコ残留濃度と分解産生物質の測定、及び浜名湖の動物プランクトン(カイアシ類)調査
辻野兼範
農家と消費者の参加型調査による農薬の圃場生態系への影響比較
特定非営利活動法人西日本アグロエコロジー協会
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岐阜県の給食をオーガニックにするための上映ツアー
服部 晃
Sanda Organic Action!
さんだオーガニックアクション
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» 助成先活動情報
過去の助成先レポート
【2021年度公募助成】
ため池や自然止水域におけるネオニコチノイド系農薬の汚染状況と絶滅危惧水生昆虫の生息状況の相関調査 III
苅部 治紀 »
2021年度レポート
ネオニコチノイド系農薬の使用が魚類の生理機能に及ぼす影響把握
角田 出(石巻専修大学 理工学部・教授) »
2021年度レポート
継世代影響から捉えるネオニコチノイド系農薬のシグナル毒性と神経前駆細胞・グリアの局所活動
星 信彦(神戸大学大学院 農学研究科 動物分子形態学分野 星研究室・教授) »
2021年度レポート
【2021年度企画助成】
ネオニコフリー2021 with生協ネットワーク21
生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合 »
2021年度レポート
【2020年度公募助成】
浜名湖流域におけるネオニコチノイド系農薬の濃度分布
辻野 兼範 »
2020年度レポート
ため池や自然止水域におけるネオニコチノイド系農薬の汚染状況と絶滅危惧水生昆虫の生息状況の相関調査 II
苅部 治紀 »
2020年度レポート
哺乳類副腎髄質細胞の低濃度ネオニコチノイド系農薬に対する感受性増大機構の解明
山國 徹(東北大学大学院 薬学研究科 薬理学分野・准教授) »
2020年度レポート
【2020年度企画助成】
フィリピン、ミンダナオ島バナナ農園におけるネオニコチノイド系農薬使用状況ならびに周辺住民・生態系への影響調査と提言・普及啓発活動
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC) »
2020年度レポート
ネオニコフリー2020 with 生協ネットワーク21
生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合 »
2020年度レポート
【2019年度公募助成】
平野部の水田ではネオニコを使う必要が無いことを証明し見える化する
NPO法人河北潟湖沼研究所 »
2019年度レポート
ネオニコチノイドによる水生生物への生態リスク比較~作目種及び散布方法による影響~
亀田 豊 »
2019年度レポート
ネオニコチノイド系農薬が佐鳴湖の生態系に与える影響調査
辻野 兼範 »
2019年度レポート
ため池や自然止水域におけるネオニコチノイド系農薬の汚染状況と絶滅危惧水生昆虫の生息状況の相関調査
苅部 治紀 »
2019年度レポート
【2019年度企画助成】
バナナレーベルによるネオニコチノイド農薬残留状況調査および消費者の選択的購買行動を動員するウェブサイト構築
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC) »
2019年度レポート
ネオニコフリー 想いをつなぐリレーイベント2019 with 生協ネットワーク21
生活協同組合連合会コープ自然派事業連合 »
2019年度レポート
【2018年度公募助成】
【2018年度企画助成】
Goオーガニック!小売店をネオニコフリーへ――稲作におけるネオニコチノイド系農薬規制強化にむけて
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン »
2018年度レポート
ネオニコフリー 想いをつなぐリレー学習会、栽培技術編
生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合 »
2018年度レポート
【2017年度公募助成】
【2017年度企画助成】
Goオーガニック!小売店をネオニコフリーへ――稲作におけるネオニコチノイド系農薬規制強化にむけて
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン »
2017年度レポート
「浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書」第2集の準備
浸透性殺虫剤タスクフォース »
2017年度レポート
【2016年度公募助成】
【2016年度企画助成】
【2015年度公募助成】
【2015年度企画助成】
Bee my friend プロジェクト 2年目(ミツバチ保護を呼びかける全国給食ランキングプロジェクト)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン »
2015年度レポート
【2014年度公募助成】
【2014年度企画助成】
ネオニコチノイド系農薬規制を実現するプロジェクト【bee my friend】
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン »
2014年度レポート
Worldwide Integrated Assessment on Systemic Pesticidesの日本語版作成
ネオニコチノイド研究会 »
2014年度レポート
【2013年度公募助成】
「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成 »
2013年度レポート
「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」追加助成 »
2013年度レポート
【2012年度公募助成】
「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成 »
2012年度レポート
【2011年度企画助成】
「ネオニコチノイド系農薬の使用中止を求めるネットワークの設立と初年度の活動」
ネオニコチノイド系農薬の使用中止を求めるネットワーク »
2011年度レポート
» 注目!助成先活動成果
» 助成先活動情報