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【助成先活動情報】シンポジウム「日米の高速炉開発協力を問う」アーカイブ動画公開(日・英版)
(以下、新外交イニシアティブからの情報を元にご紹介)

新外交イニシアティブが、3月に米国ジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係大学院と共催した国際オンラインシンポジウムのアーカイブと発表資料を公開しました。高速炉や高速増殖炉は1950年代から実用化がめざされましたが、コストやリスク、核拡散などの観点から各国で実用化には至らず、断念されてきました。しかし近年、米国では高速炉を「次世代革新炉」と位置づけ、再び開発推進する動きが見られます。この計画に日本も参加し、技術協力するとしています。

本シンポジウムでは、こうした近年の動きについて日米の有識者が複数の観点から問題提起し、議論しました。マスメディアではあまり報道されず、また学ぶ機会も少ない問題に関して、現状や問題点を整理し、貴重な知見を得られるアーカイブですので、ぜひご覧ください。

▼日本語版

▼英語版

11:40頃〜「ナトリウム冷却高速中性子炉とプルトニウム分離を推進する米エネルギー省の新たなーーしかしーー不毛な試み:日本の原子力研究・開発コミュニティーはなぜ参加したがるのか」 フランク・フォン・ヒッペル(プリンストン大学、米国)
参考資料:https://www.nd-initiative.org/research/11726/
米国における高速炉開発の変遷を説明しつつ、プルトニウムを使用することによるコスト面や安全面での問題点を指摘しています。

33:42頃〜「もんじゅの失敗」 海渡雄一(もんじゅ訴訟弁護団)
参考資料:https://www.nd-initiative.org/research/11740/
もんじゅの安全性をめぐる裁判過程で、隠されていた情報が開示され、廃炉に至った経緯を説明しました。配管の機能性と耐震性はトレードオフであり、コンセプト自体に無理があることや、これまで最高裁は国が窮地に陥った際に国を擁護する違法な判決を出してきたことを挙げました。

52:36頃〜「核廃棄物及び気候変動対策における高速炉の役割とその含意」 アリソン・マクファーレン(ブリティッシュコロンビア大学、カナダ)
参考資料:https://www.nd-initiative.org/research/11735/
原子力が気候変動対策になるかについて述べました。確かに高速炉はCO2を排出ないものの、まだ存在せず紙上の計画に過ぎません。小型モジュール炉は組み立てが難しく、今後2〜30年では実用化が難しいと見られています。

1:09:35頃〜「六ヶ所再処理工場の現状と高速炉開発との関係」 アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション)
参考資料:https://www.nd-initiative.org/research/11748/
六ヶ所再処理工場をめぐる現状について説明し、日米の高速炉協力はプルトニウム再処理の延命につながると指摘しています。

※新外交イニシアティブは上記の他にも、高速炉開発について知るために参考になる情報を公開しています。併せてご覧ください。

▼報告「高速炉で『核のゴミ』を減らす?――まやかしの高速炉開発と六ヶ所再処理工場との関係」
https://www.nd-initiative.org/research/11432/

▼「高速増殖炉から高速炉、そして無用の長物へ(松久保 肇)」
https://www.nd-initiative.org/research/11705/