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ネオニコチノイド系農薬問題とは?~情報・資料集~

ネオニコチノイド系農薬の問題にどう取り組むか

世界中で大規模に使用され、関連した被害が次々と報告されるなか、2013年5月に欧州委員会がネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)を、8月にはフィプロニルについて2年間の暫定的使用規制に踏み切ったことが話題になりました。アメリカでもネオニコチノイド系農薬のラベルにハチなど花粉媒介昆虫への影響を警告する表示が義務づけられ、規制が少しずつ進んでいます。まだ規制のない日本では、ネオニコチノイド問題にどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。
 

「予防的措置」と「未然防止」

環境問題に関する欧州と日本での規制の差を大きくしているのが「予防的処置」(欧州)と「未然防止」(日本)という、問題への取り組み方の根本的な違いです。

欧州では、環境や人体に多大な影響が出る恐れのある場合に、科学的に確実な根拠がそろわなくても被害の出る前に対策を行うという考え方が70年代から広がり始め、80年代半ばのオゾン層問題で広く認知されるようになりました。現在、欧州で環境問題に対する規制において頻繁に適応される「予防的処置」は、1992年に行われた国連環境開発会議のリオ宣言の一環としてこうした考え方をまとめたものです。即ち、「深刻かつ不可逆的な被害のおそれのある場合、科学的に完全な確実性がないからという理由で、環境悪化防止のための対策が延期されてはならない」と記されています。欧州委員会による今回の決定のように、ネオニコチノイド系農薬と生態系や人体への影響との関連を示唆するデータがありながら、因果関係の科学的な証明に至らない状況でも使用規制などの対策に踏み込めるようになっています。

一方、日本では環境基本法に「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれること」(環境基本法第二章四節四章)と記され、対策に踏み切るためには環境問題の科学的確証を求める「未然防止」という概念が根づいています。一見、細かいニュアンスの違いですが、科学的に明確な証拠を得るためには長年にわたる研究や検証を必要とするため、ネオニコチノイド系農薬規制のように問題への対策に踏み切るまでの時間に大きな差が生じてしまいます。
 

自治体から

国レベルでの規制が実施されないなか、自治体では独自の取り組みが始まっています。長崎県では、これまで接点のなかった養蜂家と農業者が直接話し合う「長崎県ミツバチ連絡協議会」が2010年4月に立ち上げられました。生産者の撒く農薬で養蜂家のハチに被害が出ると、作物の受粉をハチに頼る生産者自身にも被害が及ぶため、農薬の使用方法などについて意見を出し合い、ハチを守るための協力関係を築いています 1 。日本でのネオニコチノイド系農薬に対する取り組みには、このように業種を越えた地域ぐるみの連携関係が必要不可欠かもしれません。
 

消費者として

消費者の立場でもネオニコチノイド問題に取り組むことは可能です。環境と食の安全を守るため、農業者や養蜂家も関わって、ネオニコチノイドを使わない作物の認証システムをつくる動きが各地で始まっています。みつばちの里プロジェクトでは「ミツバチが半径500m以内に生きているか」を指標に、「ミツバチ認証」制度をスタートさせました。ミツバチが生きている地域で生産された作物は、ネオニコチノイド系の農薬が使われていないと判断されます。ウェブサイトでは「ミツバチ認証」を受けた生産者が紹介され、安全な食品を求める消費者とのつながりをつくる場を提供するとともに、この認証制度に協賛する新たな生産者の獲得にも一役買っていて、今後の発展が期待されます。消費者として安全な食材を購入することも、ネオニコチノイド系農薬の問題解決に向かう大きな貢献と言えるでしょう。