
1. 助成プログラムの趣旨
アクト・ビヨンド・トラスト(以下、abt)は2010年の設立以来、ネオニコチノイドと呼ばれる種類の農薬に関する調査研究、農薬に頼らない農業と社会の実現をめざす活動をサポートしてきました。1990年代に登場し、害虫防除に大量に用いられるようになったネオニコチノイド系農薬。この農薬は根などから植物内部に浸透するため洗っても落ちず、環境中で分解されにくいため長く残留することがわかっています。また、強い神経毒性により昆虫だけでなくヒトを含む哺乳類の神経伝達や発達にも影響を及ぼすことが、研究によって解明されつつあります。こうした危険性があるにもかかわらず、多くの日本人は知らず知らずのうちにお米や農作物、飲料、その他の加工品から日常的にこの強力な殺虫剤を取り込んでしまっている現状です。
国は未来の子どもたちの健康を守るために大きな一歩を踏み出しました。2020年に有機農業推進に関する基本的な方針が示された後、2023年にはみどりの食料システム法が制定され、環境と調和のとれた食料システムの確立に関する基本理念などを定め、農林漁業および食品産業の持続的な発展、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図るとされています。また、そのような目標を達成するために、全国の地方自治体がオーガニックビレッジ宣言を行ない始め、各地の教育機関や市民団体の活動を後押ししています。そのような行政の後押しを受け、2023年度中に学校給食で有機農産物を使用した自治体が278市区町村となったことを農水省が公表しました(2022年度の4割増し)。オーガニックビレッジを宣言した自治体数に比例して、オーガニック給食はさらに増えると予想されます。
※2025年8月29日時点で、全国150の市区町村がオーガニックビレッジを宣言しています。
けれども、有機農作物の生産と調達、調理スタッフの確保や育成、事業を支えるための資金的な問題など、オーガニック給食を取り巻く課題はまだまだ山積みです。各地で芽生え始めたこの素晴らしい動きを加速し、オーガニック給食を実現・普及・発展させるためには、個人や団体に対する資金的支援とともに、オーガニック給食にまつわる課題やノウハウを市民社会で広く共有していくことが重要だと考えました。
本助成プログラムは、幼稚園や保育園、小学校などの教育機関をはじめ、オーガニック給食の実現に向けて活動する市民団体や個人、生産者、さまざまな事業者を対象とします。農薬の影響を受けやすい成長過程にある子どもたちの健康を守る社会をめざして、皆さまからの意欲的なご応募をお待ちしております。
2. 応募資格
給食のオーガニック化(慣行農法による農作物や加工品を使用しないこと)をめざしている下記の団体
※地域、法人格、活動実績は問いません
- 幼稚園(こども園)や保育園、小学校、中学校、特別支援学級など[※公立、私立は問いません]
- 地域のオーガニック給食実現に向けて協力・連携している市民団体(ボランティアグループ、NPO/NGO、子ども食堂)や個人
- オーガニック給食を提供している有機農産物の生産者や配給業者(小売事業者、飲食サービス事業者、加工食品製造事業者、流通事業者)[※具体的な上記の保育施設や教育機関とのコラボレーションによる申請であることが条件]
3. 応募受付期間
2025年11月22日(土)~12月31日(水)
※ 12月27日(土)~1月4日(日)は、事務局を休業させていただきます。 休業期間中は問い合わせなどへの対応ができませんので、ご了承ください。
4. 助成対象活動
- オーガニックな給食を提供する活動
例:幼稚園や保育園、子ども食堂などで提供する給食を有機の食材に転換しようとする具体的な試み(週1回あるいは月1回のオーガニック給食DAY開催など) - オーガニック給食の実現・継続をめざす準備活動
例:仕入れ先(生産者)の探索、栄養士・調理師・コーディネーターの育成・探索、自治体や協力機関に対する折衝、実行委員会の組織化、活動を進めるための合意形成など - オーガニック給食をさらに普及させるためのPRやロビー活動
例:自治体や政府に対するロビー活動、市民対象の普及啓発イベント(食育授業や調理教室、映画上映など)の開催、情報発信の活動
【わたしたちが後押ししたい「オーガニック」の定義について】
abtの“オーガニック給食推進助成”では、有機農業推進法(2006年施行)の取り組み水準(下図の赤い点線四角内)で進められている農業の普及と発展をめざしています。したがって、その水準に達している有機農産物を活用した給食の導入、ないしその水準からのさらなる進展と社会への波及・浸透を試みる活動が、本助成プログラムの対象になります。
つまり本助成プログラムは、有機JAS認証を取得した農作物を使うことを条件としません。現在は国際的な有機水準に至っていなくても化学農薬や化学肥料、遺伝子操作技術を使用しない農作物を材料にした給食の提供(自治体への交渉などの準備的活動を含む)、あるいは保育施設や教育機関に対するオーガニック給食導入の働きかけ、オーガニック給食を社会へ普及させる活動を助成します。

5. 助成対象期間
2026年4月1日(水)~2027年3月31日(水)
※ 1年を通した取り組みではなく、期間を限定したイベントやキャンペーンなどの活動も対象※ 助成対象とする支出が期間内であることが条件(会計報告の際に領収書コピーを提出)
6. 助成額と助成対象費用
・はじめの一歩コース/上限10万円……オーガニック給食を取り組み始めたい申請者向け
・ジャンプアップコース/上限50万円……実施している活動を飛躍・普及させたい申請者向け
※コースによって申請書の書式が異なります。ご注意ください。
【助成対象費用】
・ 自己資金の割合は問いません。
・ 対象費目は「助成対象費目詳細」をご参照ください。
・ 実施期間中に費目間の流用(助成額の30%以内)が生じる場合には、その旨を事前に報告し、承認を得たうえで実行してください。30%以上の流用は原則として認められません。
【助成対象費目】
| 食材費 | オーガニック給食を実施・試行するための農作物や加工品等の食材購入費用 →使用量や種類(野菜、果物、加工品、飲料など)を記載すること 有機農業(農薬、化学肥料、遺伝子組み換えを使用しない)だとわかる資料を添付 (例)・生産者の持つJAS認証証明書写し(JAS認証取得農家との連携であれば) ・農薬不使用であることがわかるWebサイトやカタログ ・オーガニックマルシェ等への出店実績資料(出店基準や出店時の写真など) ・有機農作物を購入したことがわかる納品書など また、会計報告の際に、購入した農作物の納品書や提携した生産者が有機農家で あることがわかる資料を添付いただきます |
| 人件費 | 事務局スタッフ、アルバイト、調理師、栄養士、コーディネーターの賃金など |
| 旅費交通費 | 活動にともなう交通費、宿泊費 →電車・バス・自家用車ガソリン代などの種別、出発地と到着地を記載すること ※スタッフの日常的な出勤のための交通費は対象になりません。 |
| 通信費 | 電話代、プロバイダー費用、郵便代、宅配便送料など →用途を記載すること |
| 会議費 | 会議室借料、会議室での使用備品(プロジェクター、PCなど)の借料 |
| 会場費 | 公開イベント開催に伴う会場使用料、映像音響機器使用料など →会場規模(来場見込み人数)を記載すること |
| 印刷費 | 活動報告書、その他活動に必要な資料類の印刷・複写費 →単価と発行部数を記載すること |
| 外注費 | 講師、翻訳、ポスターデザイン、ウェブページ制作、試料分析など、外部機関に委託する事業への出費 →外注先が決定している場合には、その名称を記載すること ★団体のメンバーが所属する会社を外注先にする場合は、以下のいずれかの場合に限定します。 1. 減価償却対象の機材等を関連会社が所有しており、それに対する使用料込みで外注する場合 (例:車両の運転、機材を用いた撮影、コピー機による印刷など) 2. 当該会社等への委託が、他の委託先と比べて合理的であることが理事会で正式の手続きを 踏んで認められた場合(例:他社との相見積もりを理事会に提出して検討した結果、価格が 安かったため承認) |
| 消耗品費 | 文具、事務用品、その他小額の備品など →用途を記載 |
| 資料費 | 図書、文献、写真など資料の購入費 →用途を記載 |
| 雑費 | その他、上記に含まれない費用で小額のもの →使途細目を必ず記載 |
7. 審査および採否の決定について
abtの理事や外部の有識者で構成された選考委員会による書類審査(2026年2月中旬)を経て、採否を決定します。選考期間中、事務局からメールや電話で内容の確認、追加資料の提出を求める場合があるのでご対応ください。採否の結果は2026年2月中に通知します。また、下記の選考基準を参照ください。
【採択ポイント】
審査にあたっては、オーガニック給食の実現と普及に向けた企画の実現可能性、実効性、波及効果(発展性)を重視します。注目点は次のとおりです。
・ 実現可能性…企画を推進する実施態勢を備えているかどうか、成果目標や計画と予算は適当か
(態勢の構築から取り組まれる場合は、準備や合意形成のスケジュールが適切か)
・ 実効性…活動地域におけるオーガニック給食の実現や発展へつながることが期待できるか
・ 波及効果(発展性)…他の教育機関や保育施設、他地域、社会への波及効果が期待できるか
【採択後の流れ】
・採択された企画についてはabtとの間で「活動支援に関する覚書」を締結したうえ、助成金の提供を含めた企画実施に関するサポートを開始します。
・採択された企画の実施主体は、8月末に中間報告書(ジャンプアップコースの助成先のみ)を、活動終了後1ヵ月以内(2027年4月末まで)に最終報告書および会計報告書を提出していただきます。また、2027年5~6月には、皆さんの活動成果を発表いただく成果報告会(オンライン)を開催します。
・企画の採択後、趣旨や内容など大幅な変更は原則として認められません。企画を進める際の協力者や連携先から内諾を得ることのほか、飲食を伴う企画の場合は食品衛生上の観点で実施可能かどうかを十分に検討いただいた上で申請ください。
※飲食を伴う行事について、自治体への許諾申請は助成採択決定後でかまいませんが、あらかじめ各地域の食品衛生担当や保健所に企画実施の可否や許諾申請方法を確認してください。
・2026年5~6月に開催を予定している2025年度オーガニック給食推進助成成果報告会(オンライン)への参加をご予定ください(2026年4月上旬にご案内します)。

8. 応募方法
所定の助成申請書に必要事項を記入のうえ、メール添付で公募事務局まで申請してください。応募要項と助成申請書はabtのウェブサイト(下記のリンク)からダウンロードしてください。
【応募書類】
1) 助成申請書 ※「はじめの一歩」と「ジャンプアップ」の書式からいずれかを選んでください
2) 申請者の紹介資料
・ 団体の場合……定款または規約、役員名簿
・ 個人の場合……申請者のプロフィール
3) 申請者の実績がわかる資料 ※過去にオーガニック給食活動に取り組んだ実績がなくても応募可能です
・ 団体の場合……直近年度の決算書類および事業報告書、その他の活動実績資料
・ 個人の場合……活動の実績がわかる資料
4) 有機農業(農薬、化学肥料、遺伝子組み換えを使用しない)だとわかる資料
※連携する生産者のJAS認証証明書写し(JAS認証取得農家との連携であれば)、農薬不使用であることがわかるWebサイトやカタログ、オーガニックマルシェ等への出店実績資料(出店基準や出店時の写真など)、有機農作物を購入したことがわかる納品書など
《注意事項》
・応募書類は原則としてデータでご提出ください。ただし書類が紙媒体の場合に限り、下記送付先まで郵送をお願いします(助成申請書などはメール添付でお送りください)。後日の返却はできません。また郵送がある場合は、応募申請メール内にその旨を明記してください。
・送受信のトラブルに備えて、公募担当より受付通知メールを返信いたします(12/27以降は1/5に)。メールでの応募後に返信メールが届かない場合には、必ず電話で公募担当にご確認ください。
9. 一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストについて
abtは、act beyond trust(信頼・信託は大切だが、ときにはそれさえも超えて行動しよう)という名称どおり、自然環境と人間生活の調和を目的とした市民の主体的活動を支援するため、問題解決に取り組む個人や団体へのコンサルティング、資金援助、技術および人材提供、トレーニングなどを行なう独立した助成団体です。
| ・Webサイト | http://www.actbeyondtrust.org |
| ・YouTube | https://www.youtube.com/user/actbeyondtrust |
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